探求三昧(はてな支部) - 地震前兆/超常現象研究家・百瀬直也が地震・災害予知・防災・予言などを探求

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「アインシュタインの予言」は嘘だった


時間がないので、手短に書く。
何年も前からネット上で一人歩きしている「アインシュタインの予言」については、このブログで何度か話題にしてきた。
例の「我々は神に感謝する。我々に日本という尊い国をつくっておいてくれたことを」といった、日本を賛美した言葉だ。


その言葉は、こう始まる。

近代日本の発達ほど世界を驚かしたものはない。

そして、若干の言葉使いの違いはあるが、こう締めくくられる。

その世界の盟主こそは武力や金の力ではなく、あらゆる国の歴史を超越した、世界で最も古くかつ尊い家柄でなくてはならない。世界の文化はアジアに始まってアジアに帰る。それはアジアの高峰日本に立ち戻らねばならない。我々は神に感謝する。神が我々人類に日本という国を作っておいてくれたことを。


これは、アインシュタイン博士が大正時代に来日した際に語った言葉だとされてきた。
詳細を知らない人は、まずこちらの記事を読んでください。↓
[探求]『アインシュタインの予言』は虚構か
http://d.hatena.ne.jp/nmomose/20051005/yogen


今日2006/6/6(火)の朝日新聞の夕刊に、「ネットで流行『アインシュタインの予言』 日本絶賛、『本人と無関係』」という記事があった。
上記の記事で紹介している中澤英雄教授(ドイツ文学)は、ついにその証拠を突き止めたという。


その記事によると、中澤教授はこの言葉の出典を徹底的に調べた。
その結果、それが昭和3年に書かれた『日本とは如何なる国ぞ』(田中智学著)という本に、よく似た文章が見つかった。
ただし、この本では、その言葉を語った人物を「ローレンツ・フォン・シュタイン」としていた。
シュタイン氏は、明治憲法の成立にも影響を与えたドイツの法学教授だった。
だが、中澤教授がシュタインの講義録などをあたってみたが、その出典となる文章はどこにもなかった。
結局、その言葉は田中智学なる人物が自分の思想をシュタイン教授の言葉として、でっちあげたものだったらしい。
それが本やネット上で孫引きを繰り返しているうちに、「シュタイン」がいつからか「アインシュタイン」になってしまったというのがオチであるようだ。


ためしに、下記をクリックしてみてください。Googleで「アインシュタイン 尊い家柄 アジアの高峰」のAND条件で検索され、400件以上ヒットします。ほとんどが、その「予言」について書かれた「素人さん」たちの書き込みです。
google:アインシュタイン 尊い家柄 アジアの高峰


これは、ネット上に流される情報を、よく調べもせずに信じ込んではいけないという教訓だ。
わたしも、一度は信じかけました。^^;
私の場合は、10年以上前に、インターネットで広まる前から、その言葉を知っていた。
誰もが名前を知っている某UFO研究家の本でだったと思うが、記憶違いかもしれない。
たんにネット上で流れている噂レベルならば初めから疑っただろうが、本に書かれていることというのは、騙されやすい。
これもひとつの教訓となり得るだろう。
そしてもう一つ、「出典を明記していない著作は、安易に信用するな」
自分をも戒めたいと思う。


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