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探求三昧 by 百瀬直也 - 地震前兆・超常現象研究家が地震予知・予言・スピ等を探求

地震前兆研究家、超常現象研究家、ライターの百瀬直也が地震予知・予言・スピリチュアル等を探求するブログ。

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幽玄なる響き「スマル・プグリガン」

芸術
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今日は、思うところあって、珍しくガムラン音楽のことを書いてみる。
いつも書いているように、私の場合、自分が本当に自分が好きなものというのは、なかなか書かないという傾向がある。
いったん書き始めるとエンドレスで先が見えないというのもある。


一般にバリ島の「ガムラン音楽」として知られている音楽は、ゴン・クビャール(Gong Kebyar)という形式だ。
バリ島へ行くと、バリ舞踏とガムラン音楽のパフォーマンスをいろんなところで見ることができる。
それらはほとんどの場合、ゴン・クビャールという形式の音楽なのだ。
こういうのを聴いて、「なんて騒々しい音楽!」と思う人もいることだろう。
ジャズを好むような人が、ゴン・クビャールを好むかもしれない。
実際、バリの人たちはジャズが好きな人が少なくないようだ。
ガムランと同じ「ノリ」があるからだという。


以前に、チェコ人の彼女がいた時に、バリのガムランを聴かせてみたことがある。
すると、「なんて奇妙な音楽なの!」という感想が返ってきた。
ヨーロッパ人の理解の範囲を越えているのかもしれない。
細野晴臣氏いわく、ガムラン音楽はこの世界でもっとも神秘的な響きをもつ音楽だと。
私もそれには同感で、その理由の一つには、あの独特の音律にあるのではないかと思っている。
これについては長くなるので、別の機会に譲りたい。

ゴン・クビャール

たとえば、こういう映像。
典型的な、ゴン・クビャールの曲だ。
数多いバリのガムラン楽団の中でも、かなり高度なテクニックをもっていることがわかる。


人間業とは思えないような細かいビートを奏でているのに気づいただろうか。
これは、2つのパートが組み合わさって一つのメロディーを奏でる「コテカン」という奏法によって可能となる。
そう言葉で言えば簡単だが、コテカンという奏法自体が超絶的な技法だろう。
欧米人たちは、「指揮者がいないのになんでこんな複雑な音楽を演奏できるのか!」と思うらしい。

愛の神スマルの音楽

ゴンには、たしかにそれなりの良さがある。
だが、こういうのだけがバリのガムランだと思わないでほしい。


あの小さなバリ島には、驚くほど多様な形態の音楽がある。
たとえば、こういう音楽も。
Gamelan Semar Pegulingan


これは、スマル・プグリガン(Semar Pegulingan)という、古典的な形式のガムラン音楽だ。
(一般的には、「スマル・プグリンガン」と表記されることが多い)
愛の神スマルの名を冠した音楽だ。
スマル・プグリガン(Semar Pegulingan)とかスマラ・パグリガン(Semara Pagulingan)とか、綴りや発音が地域や人によって微妙に違ってくる。
もともとは、ジャワの王宮で王さまが寝床で聴くために演奏されたものだ。


上記の映像は、サヌールのある楽団によるもの。
派手さもなければ、クライマックスもない。
ただただ、川の流れのように音が流れていく。
人によっては、単調で退屈だと感じるかもしれない。
だが、私のようにこのような瞑想的な音楽を好む人には、たまらなく感じるだろう。
こんな優美で上等な音楽というのも、滅多にないだろう。
スマルを聴いていると、クンダリーニが上がってしまいそうになる。


ゴン・クビャールが5音音階の楽器を使うのに対して、スマル・プグリガンは7音音階の楽器を使う。
通常は、7音のうち5音を選んで1つの曲を演奏する。
残りの2音は、部分的に経過音的に使用される。
7音階すべてを使う場合、「サイ・ピトゥ(Saih Pitu)」と呼ばれる。
短いが、次の映像がその例だ。
◎Semara Pagulingan Saih Pitu Practice


7音階から選ばれた5音によっては、ちょうど日本の都節音階のような、物悲しい響きになる。
そして、日本人の心の琴線に触れる音を奏でるのだ。
もしあなたがラッキーならば、バリ島へ行って、オダラン(寺院の祭)で聴く機会があるかもしれない。
スマル・プグリガンの楽器を持っている村自体が、バリでもすごく少ない。
世界的に有名なウブドのプリヤタン村では、グヌン・ジャティとティルタ・サリという2つのスマル・プグリガンの楽団がある。
ちなみに、私がガムラン音楽を習っていた先生は、ティルタ・サリの重要メンバーだった。

ジャワのガムラン

また、ジャワのガムランも、幽玄を感じさせるものがある。
昨年の記事で、ジャワのガムランを初めて習った体験を書いている。
ガムランとアルファ波」についても、少し触れている。


ヴォーカルを主体としたジャワのガムラン音楽の一例を紹介する。
バリのガムランに耳慣れている人には、かなり奇異に感じるかもしれない。
私はこのような音楽をジャワで初めて生で聴いて、恍惚状態に陥ったものだった。
GAMELAN JAWA Jineman Marikangen


バリのガムランよりも、ジャワのガムランの方がより瞑想的な要素が多いように思う。
15年ほど前、東ジャワのマディユンで仕事をしていたときのこと。
夜、ラジオから流れてくるジャワ・ガムランを聴いていた。
特に女性のヴォーカルが加わる曲を聴いていて、非常に不気味に感じたこともあった。
なぜそう思ったのか、今となってはよくわからないが。
ジャワのガムランは、宇宙的なものを感じさせる要素もある。
ジャワの文化とか音楽には、何か地球的なものではないものを感じさせるものがあるから、不気味に感じるのかもしれない。

ガムラン音楽の経験

私はかつて、バリ島ガムラン音楽を習っていた。
また、日本のあるバリガムランの楽団に所属していたこともある。
バリでは、ガンサ(鍵板楽器)、ルバブ(弓奏楽器)、スゥリン(竹笛)を習ったことがあった。
だが、ガンサなどの鍵板楽器は、自分には合わないと思い、やめた。
基本的に、決まった旋律しか奏でないが、私は物覚えが悪く、すべての旋律がなかなか覚えられないのだ。


ジャワの方ならば、機会があればもう一度やっても良いと思っているが。
これに対して、ルバブやスゥリンは、ある程度インプロヴィゼイション(アドリブ)的に自由に演奏できる余地がある。
ただ、スゥリンはいわゆる「循環呼吸」というのができないと本当の演奏はむずかしい。
これは、息継ぎをまったくせず、笛を吹きながら息を吸い込むという、とんでもなく習得が困難な演奏法なのだ。
私はルバブの音の響きも好きで、これは今後の人生でも続けていきたい楽器だ。


ガムラン音楽は、聴くものというよりも、自分で弾いてみる。
その体験をしてみて、初めてその不思議さがわかってくる。
ガムランの楽器を弾いたあと、特別な精神状態になっていることが自分でもわかる。
その直後に自分の脳波を測定してみたい気持ちになってくる。
いったいどういう脳波になっているのだろうかと。
ただ、それが必ずしも良いものかどうかはわからない。
なんともいえないあの感覚を、また味わってみたいと、時々思うことがある。

付記:お薦めの本やCD

私の書架には、インドネシア関係の本がたくさん詰め込まれている。
よくもまあこれだけ集めたものだと、自分でも呆れるほどの量が。
ガムラン関連の本も多い。
その中でも、スマル・プグリガンが好きな人にお薦めしたいのは、次の2冊だ。

  • 『熱帯の旅人〜バリ島音楽紀行』、コリン・マックフィー著
  • 『踊る島バリ』、取材・編:東海林晴美、大竹昭子、泊真二


熱帯の旅人―バリ島音楽紀行

熱帯の旅人―バリ島音楽紀行

『熱帯の旅人』は、20世紀前半にバリへ行き、ガムラン音楽を世界に広めた作曲家による本だ。
スマル・プグリガンをこよなく愛した人でもあった。
というか、この人こそが歴史に埋もれかかっていたスマル・プグリガンを復活させた貢献者でもあったのだ。
残念ながら絶版になっているようだが、Amazonでまだ古書を見つけることができる。


『踊る島バリ』は、プリヤタン村のグヌン・サリ、ティルタ・サリといった世界的に有名な楽団を作り出した故アナック・アグン・グデ・ングラ・マンダラ氏(愛称グンカ)の語りを聞き書きとしてまとめた本だ。
この本を読むと、バリのガムランを世界に広めた人物が、スマル・プグリガンをこよなく愛していたことがよくわかる。
本の最後に、霊媒を通して故マンダラ氏が語った内容が2ページほどにわたって書かれていること。
いかにもバリの本らしいと、微笑ましくなる(?)。


◎グヌン・ジャティのCD
プリヤタン村テガスのグヌン・ジャティのガムランは、特に響きの美しさで定評がある。
『耽美と陶酔のガムラン』というタイトルは、「ちょっとやりすぎじゃないの」と思えてくるが。
この楽器こそは、あのコリン・マックフィーが調律し直した楽器なのだ。
彼が大阪の文楽劇場で聴いたのと似た響きをもつガムランサヌールの村で見つけ、その調律をタガスのガムランに採用したのだった。
この貴重なアルバムは、もう中古でしか入手できないかもしれない。

耽美と陶酔のガムラン

耽美と陶酔のガムラン


◎ティルタ・サリ(Tirta Sari)
私の先生が所属していたティルタ・サリのCDを探してみたが、見つからなかった。
もう絶版になってしまったのか。
それで、YouTubeで見つけた映像を貼り付けておく。
『スカル・ゲンドット』という曲だ。
ティルタ・サリは、同じスマル・プグリガンでも、スピーディーで現代的に洗練されたアレンジがなされている。
古典的な音楽とは、ちょっと異なるものとなっている。
ルバブ奏者が3人も入っているのが目を引く。
全体の音量に負けないためには、この人数が必要なのだろうか。
Gamelan Tirta Sari 前奏曲Sekar Gendot スカールゲンドゥの演奏 at Balerung stage Perliatan


◎ボロブドゥールの栄華
最後に、ジャワのガムランのCDを1枚紹介しておく。
これは、いろんな曲のさわりだけを紹介しているアルバムだ。
タイトルが「いかにも」なものだが、ジャワ島のいろんな伝統音楽を1枚のCDで聴くことができる。
特に、クラトン・スラカルタ(古都ソロの王宮)にある楽器の音色は定評があり、このCDでも1曲が収録されている。

ボロブドゥールの栄華 ?ジャワの音楽

ボロブドゥールの栄華 ?ジャワの音楽

  • アーティスト: オムニバス,イジャ・ハディジャ,ムド・ララス合唱団,オールド・バタビヤ・クロンチョン・クラブ,パウィヤタン・クラトン・スロカルト,ラングン・プロジョ,サラセアン・カラウィタン・スロカルト,ジョクジャカルタ・ブオノ家のガムラン,ネ・ミット・ビン・ブレンテット,チルボン・グループ,グループ・グントラ・マディヤ
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 1996/07/24
  • メディア: CD
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スマルの音階が頭の中に流れているうちに、一つ曲ができてしまった。
DTM+ルバブの生音で、そのうち録音しようと思う。



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