探求三昧(はてな支部) - 地震前兆/超常現象研究家・百瀬直也が地震・災害予知・防災・予言などを探求

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『マルセリーノの歌』の奇跡


『マルセリーノの歌』という曲をご存知だろうか。
たぶん、曲名を知らない人でも、その旋律を聴けば思い出すかもしれない。
1955年の映画『汚れなき悪戯』の主題歌だ。


友人のDVD『汚れなき悪戯(いたずら)』を見た。
世界的にヒットしたスペイン映画の名作だ。
そのモノクロ映画を、二人で見た。


原題は『Marcelino Pan y Vino』(パンとぶどう酒のマルセリーノ)という。
14世紀イタリア中部のウンブリア地方で起こったといわれる民間伝承を、ホセ・マリア・サンチェス・シルバ(José María Sánchez Silva)という作家が1952年に発表した作品を原作としている。
1991年には、イタリアで『マルセリーノ・パーネ ヴィーノ』としてリメイクされた。

映画『汚れなき悪戯』

ストーリーは、19世紀の前半、スペインのある町の修道院を舞台としている。
ある朝、修道院の門の前に赤ちゃんが捨てられていた。
適当な養育者が現れず、結局赤ちゃんは修道院で11人の修道士が育てることとなった。
ちょうどマルセリーノの祝日に修道院に置かれていたので、その聖人の名前を付けられた。


5歳に成長したマルセリーノは、いたずらな子供になっていた。
決して入るなと言われていた屋根裏部屋に入ると、奥の部屋で大きな十字架のキリスト像を見た。
マルセリーノは、イエスを本当の人間と思い込む。
空腹に見えるイエスを哀れに思い、パンやぶどう酒を台所からくすねては像に与えていた。


そして、結末は感動的な「奇跡」となって、映画は終わる。
思わず涙ぐんでしまった。

『マルセリーノの歌』

劇中に流れる『マルセリーノの歌』を聴いて、この映画の主題歌だったのかと、はじめて知った。
その歌をジリオラ・チンクェッティが歌っているYouTube動画を見つけた。
ジリオラ・チンクェッティといえば、昔『雨』などのヒット曲をよくラジオの深夜放送などで聴いていたものだ。

「不条理」か「残酷」か?

この映画を見て、「残酷」だと思う人もいるようだ。
だが、私はそうは思わない。
マルセリーノはあんまり罪がないから、早く天国へ帰れたのだろうか。


下北の「木村のカミサマ」こと木村藤子さんの、「人はみな持って生まれし罪がある。罪あらずして転生は無し」という言葉を思い出した。
人は、今生の最大のカルマが解消された時点で、その人生の課題をクリアし、元いたところへ帰っていくものだと教わっている。
マルセリーノ少年は、その課題が軽微なものだったのか、あるいは、神が何らかの目的で、人々に奇跡を見せるためにこの世に使わした少年なのかもしれない。

「奇跡」はあったか?

この映画を見終わって、これは現実に起きた話をもとに作られたものだろうかという疑問が生じた。
実際にあった話で、その修道院も実在するのだという。
あとでネット上で調べてみると、ちょっとニュアンスが違っていた。
前述のように、14世紀イタリア中部のウンブリア(Umbria)地方で起こったといわれる民間伝承が元になっているというのだ。
あれから600年以上たっている現代では、それが本当にあったことなのかどうかを調査することは困難だろう。
もし実話だという証拠があるのならば、ローマ法王庁によって奇跡と認定されていてもおかしくはないだろう。
という話は聞かないので、やはり現実にあった話かどうかわからないというのが、本当のところなのだろう。


実際にどういう「奇跡」だったのかについては、映画のネタバレになってしまうので、書かないでおく。
自分の長年の超常現象に関する研究からの類推では、この映画に描かれた通りのことが現実にあったというのは、考えにくい。
それは、たとえば日本の昔話である「桃太郎」のストーリーが、すべて現実にあったこととするのと同じほどに、受け入れがたいものだろう。


だが、その「桃太郎」の話にしても、その元となるエピソードは現実にあったのかもしれない。
第7代孝霊天皇の皇子彦五十狭芹彦命(ひこいさせりひこのみこと、吉備津彦命)、稚武彦命(わかたけひこのみこと)の兄弟が吉備国平定の際に活躍した話が元になっているとするのが、有力な説のひとつとなっている。


「パンとぶどう酒のマルセリーノ」の伝承も、元となった実話が何かしらあったのかもしれない。
イタリアのウンブリア州といえば、あの奇跡的な逸話を数多く残したアッシジの聖フランチェスコ(フランシスコ)で知られているところだ。
この地方は、宗教的・神秘的雰囲気が尊ばれるような傾向があるらしい。
アッシジの聖フランチェスコが生きていた13世紀から遠くない14世紀に、そのような不思議な事実が、どこまであったのだろうか。
さらに探究してみたいテーマではある。


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汚れなき悪戯 (1980年)

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