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御柱祭火と鉄と神と−縄文時代を科学する


昨年夏に出た本で、注目していたが、やっと読むことができた。


御柱祭火と鉄と神と−縄文時代を科学する百瀬高子著、彩流社

御柱祭 火と鉄と神と―縄文時代を科学する

御柱祭 火と鉄と神と―縄文時代を科学する


諏訪大社御柱祭を題材にした本だが、広く諏訪信仰や諏訪の古代文化を扱っているといえるだろう。
著者の百瀬高子氏は長野県出身とあるが、私とは遠い親戚であるのかもしれない。
東京都の公務員を退職後に古代史研究に入ったという。


本書ではまず、諏訪の古代製鉄にスポットをあてている。
かつての諏訪では、褐鉄鉱を原料とした製鉄が行われていた。
カッ鉄鉱は、水に溶けた質の悪い鉄成分が硫黄などとともに葦や草木の根に付着して、筒状になる。
諏訪湖諏訪湖周辺の河川の水は、鉄含有量が日本一なのだ。
諏訪の神は製鉄と非常にかかわりがある神であって、水の神・風の神であると同時に、鉄の神でもあった。
だから、古代の諏訪信仰を語るには、古代製鉄の知識が欠かせない。

縄文時代の製鉄?

著者によれば、諏訪地方では縄文時代から既に製鉄が行われていたとして、それは縄文土器の生成過程から自然に発見されたものだと主張する。
この本では「科学する」という表現を使っているだけに、たしかに、製鉄のことに関してやけに詳しい。
諏訪一体で発見されている大型の縄文土器は、製鉄炉だったと著者は主張する。
そして、実際に製鉄の実験までして、それが可能であることを自ら実証している。


上に書いた、植物の根についた褐鉄鉱の塊だが、実はその形が、諏訪大社で神事に使われた鉄鐸と酷似しているというのだ。
そして、鉄鐸を用いて大祝が諏訪湖周辺を廻る湛え神事は、褐鉄鉱が早く生成されるようにと神に祈る祭だという。


この本は、直観タイプの女性によくあるような論理が飛躍した部分も見られるが、「鉄の神」の部分を深く探求したい人には読む価値あるかもしれない。


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