探求三昧(はてな支部) - 地震前兆/超常現象研究家・百瀬直也が地震・災害予知・防災・予言などを探求

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宮古島の神と森を考える会


今日こそは、家に帰ったらすぐに『ヴィア・ドロローザ』の執筆ができるぞと思っていたら、まだ残作業がありました。
これを片付けないと…。
宮古島の神と森を考える会については、このブログでも何度か紹介してきました。
民俗学者谷川健一先生が、宮古島の自然が消えていくことを憂いて結成した会です。
単なる自然保護の会ではなく、その名称に「神」という言葉が見えるように、神々が存在し続けることができるように、ウタキが消えないように、自然を残そうという発想なのです。
毎年、宮古島でシンポジウムを開いたり、自然や御嶽(うたき)を守るためのさまざまな活動をしています。


ぼく自身も、一応名前だけは会員になっています。
シンポジウムがあるという通知がきても、なかなかそのためだけに宮古島へ行くことはできないんですね。
自分のWebサイトで、この会を知らせるためのページを作ったりしています。
年会費2,000円を払えば、誰でも会員になれます。
連絡先などは、下記のページを見てください。↓


会員になると、毎年のシンポジウムの報告書が送られてきます。
その報告書が数日前に届いたので、紹介します。
昨年の第12回シンポジウムは、2005年11月27日に「池間島の神・人・自然」と題して行われました。
40頁ほどの報告書は、その詳しい記録です。
今回のシンポジウムの議題は、宮古島に住む人々にとって、非常に重大な問題を含んでいるものでした。
そのテーマは「池間島の祭祀の現状と仮題」というものでした。


宮古島が好きな方々はご存知でしょうが、池間島といえば、宮古諸島の中でも一目置かれているというか、スピリチュアルな意味で特別な島とされています。
池間には、宮古諸島の最高聖地と思われているウパルズ御嶽(オハルズ、ウファルズ、大主御嶽、大主神社などとも呼ばれる)があったりします。
独特な祭祀形態でも知られていますが、その祭祀を司るのが、ツカサという存在です。
沖縄でいうところの「ノロ」のような神役の女性たちのことです。
その池間では、伝統的に5名のツカサが必要なのですが、近年はそのなり手がいなく、祭もできないままでした。
それが昨年になって、20年ぶりに5名のツカサが揃って誕生しました。
5名のツカサが誕生するまでには、この会のメンバーも協力されたようです。


その5名のツカサの方々も、このシンポジウムに参加しています。
5名揃ったのは良いのですが、まだまだ問題が山積みといった様相です。
ツカサのなり手がなかなかいないというのは、ひとつには、一人一人のツカサに、非常に大きな負荷がかかるということなんですね。
その任期をまっとうするには、並々ならぬ努力が必要なんです。
1年に数十回ある祭祀儀礼も、ツカサの方々にかなりの負担がかかります。
そういうわけで、ツカサの候補者の方々は健康上の理由などでツカサになることを断ったりするのですが、そうしたら子供が事故に遭うとかして、神に与えられた任務を悟らされるようです。
それで、なんとかツカサの人たちの負荷を軽減させてあげようというのが、このシンポジウムの課題の一つになっていました。
これについての谷川会長の意見は、時代は変わりつつあるのだから、昔のままの伝統を守りつづけなければならないという考えは捨てるべきだというものでした。
儀礼を簡略化したからといって、神の道に背くわけではない、と。
これについては、ぼくも同意見です。
たしかに祭祀の簡略化は残念ですが、それよりもツカサがいなくなって祭がなくなってしまうことの方が、もっと残念ですから。


また、オハルズ御嶽に参拝するときに裸足にならなければいけないという旧習をやめようという意見も出ました。
しかし、それに対する強い反対意見も上がりました。
これについては、個人的にはその反対意見の方に賛同します。
このように白熱した議論が展開されるのも、みなさんがそれぞれ宮古の「神と森」の将来を真剣に考えているということの現れでしょう。
このシンポジウムには、昨年も、ある有名な宮古のカンカカリャ(ユタ、カミンチュー)もパネラーとして参加していて、また別のカンカカリャは参加者として会場から意見を述べたりしていました。
カミビトの人々の意見が重視されているようで、このへんも宮古島らしいなと思うところです。


このシンポジウム議事録、非常に貴重な記録です。
いま会員になれば、この報告書がもられるのかな?
入会したい&その号を読みたいという人は、事務局に問い合わせてみてください。



【参考サイト】

付記『神に追われて』

上記の会とは直接関係ない話題ですが、会長である谷川健一先生の全集『谷川健一全集』が刊行されるようです。
谷川健一先生といえば、日本の民俗学の最後の巨人とも呼ばれています。
ここでこの全集を話題として取り上げるのは、その全24巻の中の第8巻の題名が「沖縄四 海の群星 神に追われて 他」となっていることです。
あの絶版となって惜しまれた『神に追われて』が、全集に入るんですね。
絶版になったことには、何か理由があったのではないかなどという憶測もありましたが、どうも違うようです。


『神に追われて』については、こちらの記事で書いてあります。↓
琉球の、特に宮古島カミンチュー(カンカカリャ、ユタ)の実態について知りたいという人にとっては、必読の本かもしれません。
[読書]神に追われて
http://d.hatena.ne.jp/nmomose/20051112/kamini


全集は冨山房インターナショナルから、5月より刊行開始の予定とのこと。
第1回配本が予価7,000円となっています。
これだけを読むためならば、7000円も払うよりも、ちょっと高いけれどAmazonで古書をゲットした方がいいかも。
いま見たところ、3000円弱の値段がついたのが3冊あります。

神に追われて

神に追われて

ヒヌカンクラブの隠しページ

もう一つ、蛇足だけど…。
じつは、ヒヌカンクラブのサイトには、隠しページがあります。
下記のヒヌカンクラブのトップページで、あるところをクリックすると、入れるようにしてあります。
そんなに難しいことではないので、すぐに見つかるでしょう。
http://www.ne.jp/asahi/pasar/tokek/TG/mikoclub/
そこには、シーサーのことと、宮古島でシーサーを作った体験記を書いています。


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